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滝沢市、チャグチャグ馬コの継承へ支援募る 馬主の思い伝え活躍の場創出

チャグチャグ馬コの継承へ思いを込めたクラウドファンディングページ

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 滝沢市が現在、ふるさと納税制度を活用し、伝統行事「チャグチャグ馬コ(うまっこ)」の継承を目的としたプロジェクトを立ち上げ、支援を受け付けている。

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 「チャグチャグ馬コ」は、農用馬の勤労への感謝の気持ちを込め、無病息災を願い、滝沢市の鬼越蒼前神社から盛岡市の盛岡八幡宮までの約14キロを行進する伝統的な祭り。馬は色鮮やかな装束を身に着け、装束に付いた鈴が「チャグチャグ」となることが名称の由来とされている。

 同行事へ装束をまとって参加する「装束馬」の頭数は減少傾向にあるという。ピークだった1990(平成2)年は102頭が参加していたが、現在は60頭程度までに減っている。滝沢市内での馬の飼育頭数も年々減少。地域の大きな課題になっている。

 同市では馬の資源確保を目的に雌の農用馬を所有し、繁殖を行い、生まれた子馬を「チャグチャグ馬コ」に参加する馬の飼育者へ譲渡するなど、課題の解決に取り組んでいる。農用馬の維持には1頭につき年間190万円程度の負担が伴う。加えて、現代では基本的に馬を農作業に使うことがないため、馬主の多くはチャグチャグ馬コのために馬を飼育している状況だという。

 今回は、ふるさと納税制度を通じ、クラウドファンディング型で寄付金を募る「ガバメントクラウドファンディング」の仕組みを活用。集まった寄付金をチャグチャグ馬コの実施や市が所有する馬の維持、行事に参加する馬の装束の更新のほか、行事当日以外で馬が活躍できる場の創出などに活用する。

 プロジェクトは9月8日に始まり、間もなく1カ月を迎える。目標金額は300万円。25日時点で76万円の支援があり、達成率25%に到達した。支援者からは「チャグチャグ馬コ保存のためのふるさと納税を待っていた」という声もあるほか、返礼品のない寄付を選択する支援者も多いという。

 今回のプロジェクトを一過性の資金集めとせず、プロジェクトをきっかけに色鮮やかなだけではないチャグチャグ馬コの現状や課題、馬主の思いと苦労を伝え、ファンの獲得や継続的な支援につなげていく考えもある。

 同市観光物産課の同プロジェクト担当者・菅野令さんは「チャグチャグ馬コには、きらびやかな装束に身を包んだ愛馬を誇らしげに自慢する馬主の皆さんの思いが詰まっている。その一方で、大きな負担が伴う。装束馬の活躍の場を作り、素晴らしい文化と伝統をつないでいくため支援をお願いしたい」と呼びかける。

 12月7日まで。

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