岩手県立大学(滝沢市)で7月26日、盛岡市の特産品「盛岡りんご」をPRする商品を考案するプロジェクトの最終審査会が行われた。
同プロジェクトは、盛岡駅ビル「フェザン」と地元の学生が協働で地域活性化に取り組む「スマイルチャージいわてプロジェクト」の取り組みとして今年4月に始まった。岩手県立大学とフェザンのプロジェクトは2015(平成27)年度から行い、岩手の特産品を使った商品開発などをしてきた。
9回目を迎える本年度は、盛岡市の特産品「盛岡りんご」の認知度向上がテーマ。盛岡産農畜産物の高付加価値化や販路拡大を目的とする「もりおかの食と農バリューアップ推進事業」の一環として、今回は市もプロジェクトに参画している。
プロジェクトには118人の学生が参加し、29チームに分かれて商品開発とPRの企画作りに取り組んだ。中間発表と1次審査を経て、6チームが最終審査に進んだ。学生らは自分たちが考案した商品の意図や魅力、購入者のターゲット、プロモーションの方法などについてプレゼンテーションを行った。
最終審査会では、商品開発に協力する「小島製菓」(釜石市)の菊地広隆社長、市食と農の連携室の城守まゆみ室長、総合政策学部の高嶋裕一学長、フェザンの永泉圭介店長が審査員を務め、商品企画力やプロモーション戦略の有効性、実現可能性などについて評価した。
最優秀賞に選ばれたのは、盛岡出身の歌人・石川啄木が恋した女性を思って詠んだ短歌「石狩の都の外の 君が家 林檎(りんご)の花の散りてやあらむ」に着想を得た「啄木が恋した林檎」を企画したチーム22。県産の雑穀を使ったクラッカーとリンゴを使った2種類のソースをセットにした商品で、盛岡駅の外壁には啄木の自筆を使った「もりおか」の文字が掲げられていることや、啄木の歌碑があることを踏まえ、駅の外での青空販売を提案した点も評価された。
小島製菓の菊地社長は「まだまだ改善点があるというところも含めての最優秀賞。特にネーミングが素晴らしい。最終審査に出てきた商品は全て商品化したいほどの出来栄え。今回の経験はこれから大きな財産になると思う」と評価。市食と農の連携室の城守室長は「盛岡りんごとさまざまなアイデアを組み合わせて、たくさんの視点から盛岡の魅力を引き出してくれた。これからは皆さん自身が盛岡の良さを広めていってもらいたい」と学生らへ呼びかけた。
最優秀賞を獲得したチーム22のリーダー・及川拓人さんは「選ばれると思っていなくて驚いている。チーム全員の頑張りのおかげでここまで来ることができた。盛岡りんごは県内での認知度も低いので、盛岡から岩手全体へ、そして全国へと広めたい」と話す。
今後は小島製菓の協力の下、最優秀賞の企画案の商品化を目指す予定。