もりおか歴史文化館(盛岡市内丸)で現在、テーマ展「罪と罰III -酒は飲んでも飲まれるな-」が開催されている。
江戸時代の盛岡藩で起きた犯罪の記録を紹介する同展。2020年に始まり、来館者の好評を受けて今回が第3弾となる。このシリーズを楽しみに来館する人も多い。今回は「酒にまつわるトラブル」がテーマで、特に大人が楽しんで展示を見ている姿もあるという。
前回、前々回の展示でも酒にまつわる事件をいくつか紹介していた。担当学芸員の福島茜さんは「探さなくても記録を見ているだけで酒にまつわる事件が出てくる。酔っぱらいが起こす事件が多い。酒のトラブルはいつの時代も変わらない事件のテーマなのだと感じている」と話す。
今回は9件の事件について、盛岡藩で出されたさまざまな法令をまとめた「盛岡藩法令集」、藩内で起きた犯罪とその処罰について記録した「刑罰」、盛岡藩の家老による政務日記「盛岡藩家老席雑書」の中から12点の資料を使って紹介する。
同展で取り上げる事件の中で、福島さんが注目したのが「牢番を酔わせて脱獄」事件。牢屋に収監されていた5人のうち、4人が牢屋の見張りに酒を飲ませて酔わせ、見張りが酔いつぶれて眠ってしまった隙に床板の下に掘った穴から逃げ出したという事件。「お金さえ払えば牢番に頼んで買い物をすることができ、牢屋にいながら酒を手に入れることができた。資料を読み解くと、どうやら計画的な脱獄だったと推測できる」と福島さん。
このほか、酒に酔って何となく面白くなってしまった男が刀を振り回し、家にいた住人を追い出した後、いろりに火を付けたまま寝てしまい、家が全焼してしまった「『何となく面白くなって』家が全焼」事件や、「酒と麹(こうじ)の密造・密売を一斉摘発」など、現代でも起きそうな事件も多い。
「家が全焼した事件は、記録にも『何となく気分面白相成(おもしろくあいなり)』と記されていて、酒に酔った人の行動や心理がよく分かる」と福島さん。「酒を飲まない人にとっては、笑い話のような事件もあると思う。酒が好きな人、よく飲んでいる人にとっては、ひやっとする事件もあるかもしれない。昨年、一昨年に比べて、今年は外で酒を飲む機会も増えていると思うので、飲みに行く前に展示を見て、トラブル防止、飲みすぎ防止のブレーキにして」と呼びかける。
開館時間は9時~19時(入場受け付けは18時30分まで)。入場料は一般=300円、高校生=200円、小中学生=100円。盛岡市内在住・就学の65歳以上と小・中学生は無料。8月15日まで。