盛岡市内の商店街や街づくり団体などが5月23日、「盛岡市役所新庁舎の内丸エリア内での整備を求める要望書」を谷藤裕明市長と竹田浩久市議会議長へ提出した。
現在の市役所本庁舎は建築から60年が経過し老朽化が進んでいるほか、洪水浸水想定区域内にあること、機能が分散していること、駐車場の不足など課題を抱える。市ではこれらを解消するため移転・新築を検討し、新庁舎を整備する場所として、内丸エリア・盛岡駅西エリア・盛南エリアの3つを候補に挙げている。
現在と同じ内丸エリアでの整備を求める要望書は、中心市街地の商店街や町内会、盛岡バスセンター周辺の活性化や再開発に取り組む組合・協議会など15団体が取りまとめたもの。具体的な内容は、「岩手医科大学付属病院跡地を有力な候補地と捉えながら、内丸地区内での整備を強く求める」「具体的な整備方針の検討に当たっては、市役所としての単独の整備にとどまらず、他の行政機関、公共施設、民間施設との合築により、複合的機能を装備するという方針をもって検討願いたい」の2点を強く要望している。
当日は要望者を代表し、盛岡大通商店街協同組合の吉田完爾理事長、中ノ橋一丁目地区市街地再開発組合の加賀谷輝雄理事長、盛岡バスセンターおよび周辺地区活性化協議会の佐々木健二会長、要望に賛同する市議会議員らが市役所を訪れて要望書を提出し、意見を交わした。
吉田理事長は「内丸地区での整備は、周辺商店街の総意であると感じている」と話し、加賀谷理事長は「これからの中心市街地の発展を願い、若者たちも頑張っている中で、市役所の移転は死活問題。盛岡のためにも内丸エリアでの整備を求める」と要望書を手渡した。
要望書を受け取った竹田議長は「市民の関心も高い重要な課題。議会の中でもしっかり議論していくべき」とし、谷藤市長は「今後も情報を発信し、市民会議や有識者会議などで広く意見を募りながら検討を進める。例えば内丸エリアでは限られた土地で建物をどう配置するのかといった課題もある。どこが的確なのか総合的に考えていく」と応えた。
要望書の提出後の懇談では、「内丸という地名の意味や歴史も考えてほしい」「開かれた議論の上で進めてもらいたい」「同じく建て替え準備を進める県庁舎との連携も検討してほしい」といった意見が出た。
加賀谷理事長は「市役所の移転については不安の一言に尽きる。再開発に向けて若者たちが頑張ろうとする中、移転の話が出てくるのが残念。良い方向にかじを切ってくれるように願う」と話す。