手紡ぎ・手織りの学校「Looms(ルームス)」が3月から、岩手銀行本店2階ロビー(盛岡市中央通1)で「まちなかスクール」を開いている。
Loomsは、市内中央公園で整備が進む複合施設「BeBA TERRACE(ビバテラス)」内に教室を今年の秋に開設予定。背景には岩手県内で受け継がれている伝統工芸「ホームスパン」の技術と、作品の多様性を広めたいという思いがある。教室を運営する「クラシカウンシル」(盛岡市南大通1)は、これまでもホームスパンに関するイベントや体験教室を開き、ホームスパンに関する情報発信を続けてきた。
同社の木村敦子さんは「ホームスパンに関わる中で聞こえてきたのが、技術を学んでみたいけど学べる場所がない、プロを目指す本格的な教室は敷居が高いという声。もっと気軽に、ちょっとだけ触れてみたいというニーズに応える場所が必要じゃないかと感じていた」と話す。
教室では羊毛を使った糸紡ぎ体験や卓上機での手織り体験といった初心者向けの内容のほか、経験者向けの実践講座を用意。ホームスパン作家が講師を務めるが、いきなりホームスパンに挑戦するのではなく、ホームスパンにつながる手紡ぎと手織りの技術について学ぶ。一般的にホームスパンには手紡ぎの糸が使われるが、講座によっては機械紡ぎの糸も使用する。
本格的な教室の開講を待つ中で、「半年の間、空いている時間を有効に使えないか」と考え、期間限定のまちなかスクールを企画。会場を提供する岩手銀行とは、同行の子会社「manorda(マノルダ)いわて」がホームスパン関連イベントなどに協力していた縁があり、スクールの趣旨に賛同し、会場や運営について支援することを決めた。
会場となっている岩手銀行本店2階ロビーは、ギャラリースペースとなっている一方、普段からはあまり使われていない。銀行の営業時間を生かした場所の活用にもつなげる。
まちなかスクールは好評を受け、すでにリピーターも増えているという。4月からはリピーター向けの講座も始まる予定。木村さんは「暮らしの中で使えるものを作る講座もあるので、そういった点を楽しんでくれている人も多い。伝統的な技術を少しずつ皆さんのところへ広めていければ。まずはホームスパンの入り口を見て、気軽に触れて、知ってほしい」と呼びかける。
講座の申し込みはメールで受け付ける。各月の講座の内容、日程、時間、受講料、定員についてはホームページなどに掲載する。