フリースクールを運営する認定NPO法人「盛岡ユースセンター」(盛岡市大通3)が今年4月、「フリースクール小学部」を設立する。
同法人が運営しているフリースクールは小学5年生から受け入れているが、小学生のフリースクール利用についての相談が増えているという。センター長の尾形岳彦さんは「全国的に不登校が増えているが、特に小学生の増加が顕著」と話す。岩手県で小学生の不登校は2014(平成26)年度から2020年度までの6年間で約2.5倍、盛岡市では約4.5倍になっているという。
小学生の不登校が増える一方、フリースクールなど学校以外の場所で平日の昼間に小学生を受け入れているところは少ない。さまざまな理由から民間のフリースクールを利用できないケースもあり、子どもをサポートするために生活スタイルを変える保護者も多い。
「盛岡ユースセンター」のフリースクールも中高校生の人数が多く、中高校生の活動を支援しながら小学生をサポートする体制を整えることは難しいため、1年生~4年生の受け入れを断念していた。その中で、低学年の利用に関する問い合わせや相談は増加。「子どもたちが学べる場所、過ごす環境の選択肢を増やしたい」という思いから、フリースクール小学部の設立を決めた。
小学部は1年生~6年生が対象。子どもたち一人一人のやってみたいことや好きなことを自分のペースで学べる環境を整え、学校では評価されにくい個性や強み、興味関心を伸ばし、「自分の成長が感じられる場所」をつくっていくという。フリースクールに通う中高生との関わりも計画し、異年齢との出会いによる将来への安心感や役割の獲得にも期待を寄せている。
尾形さんは「子どもにとっての身近な人の選択肢を増やすことにもつながる。保護者や学校の先生以外の大人、年齢が近いお兄さん、お姉さんと出会うことは、励みや将来のビジョン、目標づくりに役立つと思う。自分がしてもらったことを、今度は自分がやるんだというイメージも持ちやすい」と話す。
設立に向けて現在、オンライン寄付プラットフォーム「Syncable(シンカブル)」を利用したクラウドファンディングのほか、銀行振り込みによる寄付を受け付けている。目標金額は合わせて300万円。集まった寄付は、机や椅子などの学びの環境整備、教育教材費、新たに採用するスタッフの人件費などに使われる。
「子どもたちに学校ではなくてもいいよ、と伝えたい」と尾形さん。「子どもにも保護者の皆さんにも、まずは情報を届けたい。不登校はマイノリティーではない。みんながいてもいい場所がある。自分がやりたいことに挑戦できる、楽しく笑顔で成長できる、そんな場所を開きたい」と意気込む。
クラウドファンディングの受け付けは2月20日まで。