「もりおか歴史文化館」(盛岡市内丸)が7月1日、開館から10周年を迎えた。
10周年記念で配布するオリジナル鉛筆と擬宝珠ペーパークラフト
盛岡の歴史や文化に関する資料を収集・保存・公開する博物館と、「歩いて楽しむまち盛岡」の観光・交流拠点の2つの要素を併せ持つ同館。岩手県立図書館が移転した後、残された建物を活用する形で2011(平成23)年7月1日にオープンした。開館準備を進めている最中に東日本大震災が発生。開館できるかどうか不安な時期もあったという。
同館職員の小西治子さんは「開館からの10年はあっという間で、あまり実感がない。開館準備中に震災が発生し、本当にオープンできるんだろうかと思う時もあったが、館長の『こんな時だからこそ、内陸から元気を』という言葉に励まされた。たくさんの困難を乗り越えながら、盛岡の歴史を発信し、市民の皆さんの知的好奇心を刺激したい、満たしたいという気持ちでここまで来たと感じる」と振り返る。
7月1日からは開館10周年に合わせた関連企画がスタート。4日まで来館者先着100人にオリジナルグッズを配布するほか、12日まで1階の祭り企画展示室で歴代展覧会のポスター展を開催する。
オリジナルグッズは12代南部家当主・南部正行の和歌を印字した鉛筆と、擬宝珠(ぎぼし)ペーパークラフトの2つ。鉛筆を選んだ理由は、博物館や美術館で使用する筆記用具として鉛筆が推奨されているため。シャープペンシルやボールペン、万年筆を使う場合、折れた芯やとがった先端が展示品や展示室を傷つけたり、インクが付着したりする恐れがあるという。そのため、鉛筆を利用してほしいという思いを込めた。鉛筆に印字された和歌には、盛岡南部家に伝わる擬宝珠にまつわる逸話がある。鉛筆と共に配布する擬宝珠ペーパークラフトは職員の手作り。組み立てると擬宝珠の形が完成する。
ポスター展ではこれまでに同館で開催した展覧会のポスター37枚を展示。ここ数年、歴史が苦手な人やあまり興味がない人にも届くようにデザインに工夫しているといい、これまでどんな企画展があったかを振り返るとともに、ポスターデザインの移り変わりも楽しめる。ポスター展の期間中は七夕飾りと、大正~昭和時代ごろの盛岡の七夕まつりの様子を撮影した画像を展示する「歴文館七夕まつり」も行う。七夕飾りも同館職員の手作りで、企画展のポスターなどを使って作成した。
コロナ禍の影響が続く中、オンラインショップの開設や動画配信など「自宅でも楽しめる博物館の在り方」を模索する同館。小西さんは「コロナ禍のため大きなイベントはできないが、少しでも来館した皆さんに喜んでもらいたい。これまで開催してきた企画展の多くは地域の皆さんの協力があってこそ成功した。これからも地域の皆さんに愛される博物館でありたい」と話す。
10周年企画期間中の開館時間は9時~19時。ポスター展・七夕まつりが行われる祭り企画展示室は入場無料。