北上川の舟運文化の復活と舟運文化を生かした地域活性化に取り組む「北上川に舟っこを運行する盛岡の会」は6月19日、「もりおか港(みなと)・新山河岸(しんざんがし) 開港祭」を開催する。
同会は盛岡市内・北上川周辺の商店街や住民ら9団体によって2017(平成29)年に設立。市内を流れる北上川ではかつて荷物を船で運搬する舟運文化が発達し、船が主要な交通路として活用されていたという。その舟運文化を現代に復活させ、地域の活性化や新たな観光資源につなげようと取り組みを続けてきた。
同会のほか盛岡市、国土交通省岩手河川国道事務所・北上川ダム統合管理事務所が構成する「盛岡地区かわまちづくり(舟運)実行委員会」では、川を活用したイベント「北上川フェスタ IN MORIOKA」を2017(平成29)年にスタート。第1回はゴムボートを使った舟下り体験を実施した。翌年には木造船「もりおか丸」が完成。2018(平成30)年の第2回北上川フェスタで進水式を行い、それ以降、もりおか丸の運航実験を続けている。
会の設立当初からの目標には「舟の運行と川の駅・港を作ること」があった。今年3月には北上川の開運橋付近と明治橋付近の2カ所にコンクリートの船着き場を整備。開運橋側が「もりおか港」、明治橋側が「新山河岸」として開港することとなった。同会事務局の阿部優さんは「川についての専門家でもなく、知識も持たない中でよくここまで来たなと思う。舟がまちづくりの一環になれば」と振り返る。
6月19日には開運橋の河川敷で開港式と、4回目となる北上川フェスタを開催。もりおか丸も運航予定だが乗船券は前売りの時点で完売している。このほか当日は「北上川に舟っこを運行する盛岡の会」に加わる各地域でさまざまなイベントを企画。もりおか港周辺では乗馬体験やゴムボートによる体験学習周遊、木伏緑地でのマルシェイベント、新山河岸から近い鉈屋町かいわいでは神子田朝市の移動販売などの催しを行う。盛岡駅から近い開運橋付近で舟に乗り、旧市街地を巡って駅方面へ戻る新たな観光ルートの提案も狙う。
今後は「もりおか丸」の観光客や子どもたちの学習に利用する考えもある。現在の運航はボランティアの手によるもので、まだ実験段階の面も多い。本格的な運航に向けた組織づくりや基盤づくりも進めていくという。
阿部さんは「舟運文化を復活させたい思いもあるが、広い範囲でのまちづくりに生かすことが目標。駅前から旧市街地方面へ向かうルートは限られていて、なかなか観光につながらない部分もある。舟で川を下って、各地で楽しんでもらいたい」と呼び掛ける。
開港祭は10時~、第4回北上川フェスタ IN MORIOKAは11時~。