全国各地の文化や自然環境などの資源を色と物語で伝える活動を行う「一般社団法人日本地域色協会」が11月16日、設立された。
同協会の始まりとなっているのが、県内各地の風景や文化、工芸品などの地域資源から「岩手の色」を選定し、その色にまつわる物語と共に地域の魅力を伝える「いわてのいいイロ発信プロジェクト」。プロジェクトは「新しい東北」先導モデル事業の一つとして2014(平成26)年にスタートし、県内各地の「いいイロ」を「地域色」として、その色と色の名前、色にまつわる物語をセットにして発信を続けてきた。
「いわてのいいイロ」として選ばれたのは、岩手の伝統工芸品としても知られる「南部鉄器」の黒「南部 くろがね」、浄法寺漆の赤「浄法寺うるわしレッド」、久慈琥珀(こはく)の「久慈アンバーイエロー」、八幡平・安比高原の雪の「八幡平N40°(エヌヨンマル)ホワイト」など全12色。2019年には、特別色の「岩手県旗 グリニッシュグレイ」を加えた11色がオリジナルの万年筆インクとして商品化。県内外や海外からも大きな反響を得た。
岩手の色から始まったプロジェクトを全国へ広めるに至った経緯は、情報発信の土台が整ったことに加え、商品化をきっかけに交流が生まれたことだったという。「インク」として「色」を買い求める購入者との会話の中で、購入者が持つ色や地域への思いや、地域の色が持つコンテンツとしての魅力に気付き始めた。
日本地域色協会の代表理事を務める竹村育貴さんは「『次はどういうことをするのか』『プロジェクトを応援するにはどうしたらいいか』という声が多かったのも理由の一つ。皆さんに参画してもらう場所を作り、自分の地域の色を作りたいと思っている人を募り、全国から『いいイロ』を集めて発信したい」と話す。
協会は「いいイロ」の語呂合わせになる11月16日に設立。各地域が持つ特有の文化や自然環境などの資源を色・色名称・物語で定義したものを「地域色」=「いいイロ」とし、各地の魅力を色と共に全国へ伝えていく。今後の活動としては、広報活動・情報発信を継続していくほか、新たな色の開発に向けた県外パートナーとの連携、ワークショップ・セミナーの開催、ブランディング支援などを行っていく。
現在は個人や法人で活動を応援する年会費制の「フレンドシップメンバー」も募集。メンバーには「いいイロ」を使ったオリジナル名刺の製作などの特典を用意する。協会の設立に合わせ、「いわてのいいイロ」を使った「いわてのいいイロ COLOR INK」の再販売も行っている。
「全国1116色のいいイロを発掘するのが目標」と竹村さん。「単色だけではなく、地域ごとの色や、日本全国の色を集めたパレットを作って楽しんでもらえるようにしたい。皆さんの思ういいイロが自然と集まるような形にしていければ」と意気込む。
フレンドシップメンバーへの参加方法は協会のホームページで、「いわてのいいイロ COLOR INK」の販売状況についてはセレクトショップ「pen.(ペン)」のSNSなどで発信する。