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八幡平にビール工場「暁ブルワリー」開業へ 地元の誇りになるビール目指し

開業する「暁ブルワリー八幡平ファクトリー」のイメージ図。観光拠点になることも視野に入れる

開業する「暁ブルワリー八幡平ファクトリー」のイメージ図。観光拠点になることも視野に入れる

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 デザインや飲食事業を手掛ける「太極舎(たいきょくしゃ)」(東京都渋谷区)は9月、「八幡平トラウトガーデン」を改装したビール工場「暁ブルワリー八幡平ファクトリー」(八幡平市松尾)を開業する。

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 同社はデザイン会社からスタートし、後に飲食事業を立ち上げ、その際に日本のクラフトビールを応援する店舗を手掛けた。2016(平成28)年には発泡酒醸造免許を取得。東京都・世田谷にビール醸造所「暁ブルワリー」を設け、クラフトビールの醸造をスタートした。

 同社と岩手とのつながりは2011(平成23)年の東日本大震災がきっかけとなった。同社では震災後にNPO法人を立ち上げて支援活動に取り組み、活動を通じて岩手を訪れる中でさまざまな生産者と交流を持った。「暁ブルワリー」の暁は、支援活動で訪れた宮古市田老町でワカメ漁に同行し、その時に見た朝焼けの空と海から名付けた。「暁レッド」というビールにも、田老町のワカメが使われている。

 岩手に足を運ぶ中で八幡平の環境の良さに触れるとともに、ビールの醸造に適した場所であることを知り、2018(平成30)年に醸造所の新設計画をスタート。条件が合うことから現在閉鎖中の「八幡平トラウトガーデン」を醸造所へ改装することとなった。

 「太極舎」クラフトビール事業部の上地真弘さんは「岩手出身者がいるわけではなく、岩手という土地や住む人の魅力があってこの場所を選んだ。支援活動を通じて岩手の皆さんに元気をもらい、さまざまな気付きと学びも得た」と話す。「『トラウトガーデン』は地元の皆さんにとって思い出の場所。その懐かしい場所に再び火をともしたいという思いもある」とも。

 「八幡平ファクトリー」で醸造するのは、「人にやさしく、自然にやさしく」をテーマに掲げたオーガニックビール。日本百名水にも選ばれた八幡平の湧き水「金沢清水」を使った天然水醸造で、原料には有機無農薬麦芽を使う。加えて、八幡平市の地域資源である「松尾八幡平地熱発電所」のグリーン電力を99%活用して醸造を行う。

 醸造するビールは、「苦手な人にも飲んでもらいたい」という思いから。炭酸を控えめに苦みも抑え、食事と共に最初から最後まで味わえるビールに仕上げる。名前は「ドラゴンアイ」となる予定。水と関わりが深く、八幡平の観光的シンボルであることから、地域の良さや発展をアピールする意味合いも込めた。9月7日に初仕込みを行い、10月中旬から末ごろに完成予定。缶ビールとして県内各地や都内での販売を計画している。

 2次計画としては醸造所に飲食施設などを設け、地域の観光拠点の一つにしていく考えもある。上地さんは「地元の皆さんにとって誇りであるようなビールを目指したい。この工場で造られたビールを飲んで、会話のきっかけになるような存在になればと思う。ビールを通じて八幡平と岩手に貢献できれば」と話す。

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