豚汁専門店「とんfe(とんふぇ) 麦多朗(むぎたろう)」(盛岡市南大通1)が11月1日、オープンした。
店主の大村茂さんは現在72歳。サラリーマンとして働き、退職後は仙台で会員制のパン店を営んでいたという。その後、妻の実家がある盛岡へと引っ越してきた。引っ越し後、パン店を再開するにも設備を一から用意したり、会員を募ったりすることが難しく、「何かできないか」と考えていたところ、自身が作っている「豚汁」を食べてもらいたいというアイデアが生まれた。
大村さんは「体は元気で、また何かに挑戦したいと思っていた。自分が作る豚汁を他の人に振る舞った時、おいしいと言ってもらえたことがうれしく、たくさんの人に食べてもらいたいと思った」と話す。「反対されることもあったが、一回くらい失敗してもいいじゃないかと決心してスタートした」とも。
店で提供する豚汁は、大村さんがサラリーマン時代に各地を転勤する中、とある食堂で食べた豚汁の味を再現したもの。その味が忘れられず、独自に研究を重ねてきたという。材料は、豚バラ肉、玉ネギ、豆腐、みそのみで、豚肉は盛岡のブランド豚「もりおかあじわい林檎ポーク」、みそは市内の「北田糀店」のものを使うなど、地元食材にもこだわる。豚汁は玉ネギをふんだんに加えるため、汁の90%は玉ネギの水分になる。だし汁と豆腐からの水分に加え、豚肉のうま味と玉ネギやみその甘みが溶け合うという。
店名にも使っている「とんfe」は、「とん汁カフェ」の略。女性にも気軽に利用してほしいという思いも込め、店内もカフェ風の雰囲気に仕上げた。席はカウンターとテーブル合わせて23席。豚汁に麦ご飯ととろろが付いた「とん汁定食」(750円~)のほか、豚汁をスープに使ったラーメン「とん中」(850円)や、つけ麺タイプの「とんそば」(900円)などのユニークなメニューもそろえる。今後は妻が作るパンのメニューも提供する予定。
オープンから間もなく半月。開店したばかりのころは不安も多かったという大村さん。「今はおいしいと言ってきれいに完食してもらえることが励みになっている。豚汁レシピの研究を頑張りたい」と意気込む。「登山や音楽を聞くのが好きなので、同じ趣味を持つ人が集まる場所にもなったらうれしい。みんなが気楽に来て、のんびりと温かい時間を過ごしてもらえる店にしたい。盛岡の食材を使った豚汁を味わって」と呼び掛ける。
営業時間は11時~18時。