盛岡地域地場産業振興センターは5月1日、盛岡産の「アロニア」を使用した「アロニアサイダー」を発売した。
アロニアは北米原産のバラ科の植物。ナナカマドに似た小さな黒い実を付け、果実にはポリフェノールが豊富に含まれ、特にアントシアニンはブルーベリーの3倍以上だという。盛岡では砂子沢地域で2006(平成18年)年から栽培がスタートし、「もりおかベリー」という愛称でも知られる。同センターでは2008(平成20年)年ころから商品化に取り組み、生のままではポリフェノール由来の渋みや苦み、酸味が強いため、ドリンクやジャムなどの加工品を販売してきた。
「アロニアサイダー」は、アロニアを幅広い世代においしく味わってもらい、楽しみながら知ってもらおうと企画。盛岡には「地サイダー」がなかったことから、新名物として開発を決めた。開発に当たっては、特有の渋みや酸味を抑えながら、色や香りを出すためにアロニアの果汁をどれぐらい配合するか考えたという。
商品化された「アロニアサイダー」には盛岡産のアロニア果汁2%を使用。渋みや酸味は少ないが甘過ぎず、爽やかな味に仕上げた。着色料は使わず、アロニアだけの色で出した鮮やかな紅紫色(こうししょく)も特徴。カクテルなどアルコールと合わせても楽しめるように、炭酸も強めにしている。
同センター事務局長の山崎龍男さんは「アロニアの渋みは、ポリフェノールがたくさん含まれている証拠で、それを除けばおいしい果実。サイダーなら大人から子どもまで楽しんでもらえると思った。2%の果汁でも香りや色がしっかり出て、アロニアの味も感じられる」と話す。
サイダー以外にも、アロニアの果汁に県産リンゴの果汁を合わせた「アロニアりんごジュース」と「アロニアりんごゼリー」、乳製品と合わせた「アロニアチーズケーキ」を同時に発売。ほかの食材と合わせることで、どの世代にも食べやすく、飲みやすい味わいに仕上げる工夫を凝らした。
当初は「盛岡手づくり村」のみでの販売だったが、現在は「特産品プラザ らら・いわて」でも取り扱い、利用客からの反応も良いという。今後も販売箇所を広めていく予定。
山崎さんは「地サイダーとして盛り上げていきたい思いもある。まずは一度味わってもらいたい。アロニアを盛岡の果実として広めていくためにも、たくさんの人に知ってもらえれば」と呼び掛ける。
アロニアサイダーは1本340ミリリットル入り、324円。