「もりおか啄木・賢治青春館」(盛岡市中ノ橋通1)2階展示ホールで現在、第83回企画展「喫茶は文化の宝庫展」が行われている。
同館の常設展示では石川啄木と宮沢賢治の2人を取り上げていることから、企画展での展示も2人に関連した内容が多いという。今回は少し趣向を変え、2人が生きていた時代背景に着目。喫茶店に文学者や作家が集まっていたことや、芸術文化の創造拠点でもあったこと、啄木や賢治も喫茶店とつながりがあることなどから、喫茶店をテーマに選んだ。
日本の喫茶文化黎明(れいめい)期から現代に至るまでの変遷をパネルで紹介。啄木や賢治をはじめ作家らとの関わりや時代による喫茶店の変化、盛岡での広まりなどについても取り上げ、喫茶店の存在自体に焦点を当てる。ホールの中央には喫茶店を再現した一角も設け、喫茶店で配布していたマッチ箱も展示している。
館長の鐙(あぶみ)浩史さんは「盛岡には喫茶店が多く、昔ながらの店もある。喫茶店が広まり始めた当時の盛岡の文化都市としての側面にも触れる内容にしている」と話し、「啄木も賢治も何かと苦労した話が取り上げられがちだが、私たちと同じく喫茶店に行き、たくさんの人と交流を持っていた。そう思うと親近感が湧いてくる」とも。
期間中は館内にある「喫茶 あこがれ」で限定メニューのクリームソーダ(600円)とレモンスカッシュ(500円)を提供。現代のカフェや喫茶店ではなかなか見られない懐かしいメニューを選んだ。
鐙さんは「昭和レトロなものの人気が復活しているので、若い皆さんにも立ち寄ってもらいたい。建物自体がレトロなので、この空気と一緒に喫茶文化と昔ながらの喫茶店の雰囲気を味わってもらえれば」と呼び掛ける。
開催時間は10時~17時(6月1日は12時まで)。第2火曜休館。観覧無料。7月7日まで。