岩手のための若手漫画家応援マガジン「いわてマガジン」が6月10日、創刊された。
同誌は、「いわてアートプロジェクト実行委員会」が創刊したもの。「若手漫画家の発表の場を増やす」「テーマや素材を与え、新分野に挑戦してほしい」「漫画が持つ伝える力で岩手の魅力を伝える」の3つをコンセプトに、岩手にゆかりがあるアマチュア漫画家による連載や読み切り作品を掲載。若手漫画家の育成を行うと共に、地元の魅力をさまざまな角度で発信する。
創刊号にはクリストファー・アイゼンフィールドさん、ピカリさん、ナリタカさん、路真行方(ろまゆくえ)さん、佐藤陽和(ひより)さんの5人による作品を掲載。それぞれ遠野物語や平泉の浄土思想のほか、外国との文化の違いなどがテーマになっている。
20日には出版報告会が行われ、クリストファーさん、ピカリさん、ナリタカさん、佐藤さんの4人の漫画家と、路真さんの作品のモデルとなった遠野市在住のイタリア人レナータ・ピアッツアさんが出席。自身が描いた作品について佐藤さんは「私の漫画は遠野物語をテーマにした作品。遠野物語の中にはいろいろな裏話があることを知ってもらいたい。完成して手応えもあり、改めて頑張りたい」と話し、浄土思想と西洋の思想の対比をテーマにしたクリストファーさんは「歴史が題材になっているが、自分にとっては苦手分野。自分と同じような人にも、さくっと楽しんでもらえるように描いた」とも。
台湾と岩手の文化の違いを描いた台湾出身のピカリさんは「日本に来て4年目。自分の体験を基にして、岩手での生活の楽しさを読んでもらいたい」、自身が漫画の題材となったレナータさんは「自分が漫画になるというのがとても不思議な感覚。私の考えは伝えづらい難しいテーマだったと思うが、素晴らしくまとめてくれたと思う」と話す。「皆さんに憧れて漫画家を目指す人がいるかもしれない」という質問には、ナリタカさんが「私にも憧れ、尊敬している先生がたくさんいる。自分もそういう存在になれたならうれしい」と答えた。
同誌は年に2~3回のペースで全10回の刊行を予定。今後は掲載作品数や取扱店舗を増やすことを目指す。同誌編集長の杉田靖子さんは「作品を読んでもらうことで、岩手のことや頑張る若者たちについて多くの人に知ってほしい。今後は震災にまつわる題材も取り上げ、風化防止にも貢献していきたい。岩手のためにも若手のためにもなる雑誌。少しでも応援してもらえたら」と呼び掛ける。
価格は500円。盛岡市の「さわや書店」フェザン店と同ORIORI店で取り扱う。