早朝移動図書館「どこでもBOOK」が現在、「高松の池公園」(盛岡市高松1)で行われている。
同館を運営しているのは八重樫信子さん。「面白いことや自分が好きなことをしたい」という思いから仕事を辞め、昨年4月に自由業に転職。もともと本好きだったが、仕事をしている間は読書の時間がなかなか取れずにいたという。そこで、「朝に本と出合う時間を提供しよう」と、今年の4月末から「どこでもBOOK」の活動をスタート。毎週水曜の天気が良い早朝、手作りの荷台を取り付けた三輪自転車に本を積み込み、高松公園を訪れるようになった。
八重樫さんは「早朝と本、自転車、高松の池と自分の好きなものを合体させて生まれたのが『どこでもBOOK』の形。始めたばかりの頃は不安も多かった。誰も訪れない日もあるが、今はなじみの人も増えて、訪れる人同士の交流も生まれるようになってきた」と話す。
用意する本は100冊ほどで、八重樫さんが趣味で集めたものに加え、「来館者」が持ち寄る本が少しずつ増えている。自転車の荷台は折り畳み式の本棚になり、そこに本を並べ、来館者は自由に閲覧できる。本は貸し出しも行い、借りる時には専用ノートに本のタイトルや名前を記入し、返却期限は定めていない。
10月2日、9日、16日は観光客との交流や通勤・通学途中の人を応援する思いを込めて、開運橋近くの「木伏緑地」でも試験的に「開館」。今年の活動は11月中旬で終了し、来年の4月から毎週水曜は高松公園、月曜は木伏緑地での開館を予定している。何度も利用しているという男性からは「本当に興味深い活動。もっと注目されてほしい気持ちもある。寒さは厳しくなるが冬の間も続けてほしい」という要望も上がっているという。
八重樫さんは「持ってくる本の中には読み終えて何年も本棚に入れっぱなしだった本もある。それなら誰かに読んでもらった方が良いと始めた図書館。人と本が出合う場所としてはもちろんだが、人と人がつながる場所としても続けていきたい」と意気込む。「まずは自分が常に楽しめるように工夫しながら、いろいろなことに挑戦していく予定。遊びに来て」と呼び掛ける。
開館時間は5時~8時(日の出の時間帯に合わせて変更あり)。