全国の会員向けに岩手県産食材の宅配などを行う「注文の多い食材店」(盛岡市西下台町)の定期便事業が5月17日、スタートした。
同事業は東京や大阪などの都市圏の会員向けに月1回、県産の農水畜産物を宅配するもの。同社では昨年の春から、食に関する情報を持つ専門家・フードアナリストを育成する「日本フードアナリスト協会」の協力を得て、県債食材のブランド化などについてのフォーラムやセミナーを開き、県産食材のファンを増やすなどの準備を進めてきた。現在は農業法人や水産加工会社など約30事業者が出荷者として登録している。県内の食材の販路を拡大し、魅力をアピールするとともに、生産者が分かり消費者が安心して食べられる食材の提供を目指す。
同社会長で発起人の重石桂司さんは「岩手は四季がはっきりしていて、独特の気候と風土がある場所。地域ならではの食材や食文化があるのに、それを発信する機会や手段が少ないように思う。生産者と消費者をつなぐ仲人役として、岩手の食材の良さを伝えたい」と話す。
初回となった5月の食材は雫石町の野菜。食材は郵便局が集荷を行い、各世帯分に分けて出荷。キュウリやウルイ、ホウレン草など新緑の季節に合わせた食材が会員の元へ届けられた。定期便には産地の観光パンフレットとあいさつ文を同封。あいさつ文では「本州一の広さと移り変わる四季を感じる農地緑豊かな酪農地を持ち、ヨーロッパをほうふつさせる風景であり、国内で最も多様で、おいしい、安心できる食材の生産地」と岩手の気候と風土を紹介した。現在の会員数は30世帯ほど。今後は季節の旬のものを中心に、魚介類や水産加工品、肉、乳製品も届けられる。
重石さんは「消費者が食材に対して安全性を求める気持ちが高まっているように思う。畑や海、工場から直接届くことで、岩手のどこでどんなものが作られているか、地域のことをより理解してもらえる。安全で安心できる岩手の食材をぜひ味わって」と呼び掛ける。
価格は送料込みで4,320円~4,752円。配送地域によって値段が変動する。定期会員の申込書はホームページからダウンロードできる。