岩手県立美術館(盛岡市本宮、TEL 019-658-1711)で4月15日から、「没後90年 萬鐵五郎(よろずてつごろう)展」が開かれる。
同展は岩手出身の画家・萬鐵五郎の没後90年を記念して開くもの。今回は同館と花巻市の萬鉄五郎記念美術館が初めて共同で行い、県内での大回顧展の開催は20年ぶりとなる。前回の回顧展以降、代表的な油彩画の周辺作品や関連資料の調査が進み、萬が活躍した時代の文化を紹介する展覧会も増え、萬の制作活動は多角的な側面から見直されているという。
担当学芸員の根本亮子さんは「美術館では普段、郷土の画家として常設展示を行っているので、今更と感じる人もいるかもしれない。今回は他の施設からも代表作が集まる過去最大規模の展覧会になるので、見応えもある。萬の新たな魅力を見つけてほしい」と話す。
2つの施設で萬の作品を異なるテーマで取り上げる。同館では、油彩画・水彩画・素描を中心に約350点を展示。油彩画の代表作から表現の変化をたどり、表現の本質に着目する。共同開催の萬鉄五郎記念美術館では、あまり注目されてこなかった水墨画に焦点を当てて、表現の変遷や油彩画制作との関連性を考察する。
期間中は関連イベントも多数行われる。15日にはオープニング討論「萬芸術を赤裸々に語る」を開催。両施設の学芸員らが作品の解説や見どころなどをそれぞれの立場から語り合う。5月20日は画家の山口晃さんによる講演会。制作者の立場から萬作品について話す。
根本さんは「萬作品は一見、分かりにくいが、見るたびに発見があり、長く楽しめる作品だと思っている。今回の展覧会をきっかけに、郷土の画家としてたくさんの人により深く知ってもらいたい」と来館を呼び掛ける。
開館時間は9時30分~18時(入場は17時30分まで)。月曜休館(5月1日は開館)。観覧料は大人=800円(当日1,000円)、高校生・学生=500円(同600円)、小中学生=300円(同400円)。6月18日まで。