「油井亀美也宇宙飛行士ミッション報告会~亀の恩返し~in岩手県矢巾町」が3月13日、岩手医科大学矢巾キャンパス(矢巾町西徳田2)で開催された。
同イベントは同大学が主催し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共催。油井さんは2015年7月から約5カ月間国際宇宙ステーション(ISS)に滞在し、12月に帰還。今回の報告会は油井さんが帰国して以来、全国で2番目となる。午前の部としてプレイベント「ミニ実験 タンパク質の結晶を作ろう」、午後の部ではミッション報告会が開かれた。
午前の部には小学生から高校生まで約60人が参加。同大学とJAXAが研究を進め、ISSの日本実験棟「きぼう」でも行われた、タンパク質の結晶を作る実験に挑戦した。参加者は大学の研究者やJAXA職員からサポートを受けながら真剣な表情で取り組み、顕微鏡で自分たちが作った結晶を見た子どもたちからは歓声が上がった。
午後からのミッション報告会は3部構成。1部ではISSでの長期滞在中に行った活動についてのミッション報告と質問コーナー、2部と3部では宇宙環境を生かした科学実験や自身が担当した実験の内容、ロボットアームを使ってキャプチャした世界最大級の宇宙用補給船「こうのとり」について、実験や運用に携わった研究者やJAXA職員と話した。
各部では写真や映像を使ったスライドショーや、クイズコーナーもあり、出演者らのユーモアあふれる話に会場から笑い声が上がる場面もあった。宇宙での活動について油井さんは「皆さんが思っているより宇宙は快適な所。142日の滞在はあっという間だった。ISSを離れる時はとても寂しかった。地球もいいけど、また宇宙に行きたい」と振り返る。
質問コーナーでは会場に集まった約730人の参加者から「宇宙食はおいしかったか」「なぜ宇宙飛行士になったか」などの質問が寄せられ、油井さんは一つ一つの質問ににこやかに回答。「宇宙飛行士になるには何が必要か」という質問には、「今できることを考えて取り組むことが大事。家の手伝いや勉強を頑張って、そしてたくさん遊ぶことも忘れないで。何事も繰り返し続けること。そうすればきっと夢はかなう」と、宇宙を目指す子どもたちにエールを送った。
盛岡市内から家族で参加したという佐々木拓弥さんは「油井さんが岩手に来て話をしてくれたのがうれしい。勉強も手伝いもちゃんとして、将来は宇宙に行ったり地球から宇宙飛行士を助けたりする人になりたい」と話す。
油井さんは「岩手は宇宙から何度も見ていて、紅葉の時期が特に美しかった。今日訪れて、自然が非常に豊かだと感じた」という。「集まってくれた子どもたちと話して、宇宙についてたくさん勉強していると思った。夢を持っていろんなことにチャレンジしてほしい」と呼び掛ける。