盛岡市出身の佐藤千亜妃さんがボーカル・ギターを務めるバンド「きのこ帝国」のメジャーデビュー曲「桜が咲く前に」のミュージックビデオが話題を集めている。
同ミュージックビデオは、「盛岡で上京する少年を見送る少女。その10年後、それを回想する青年」という時系列で描かれており、上京して10年たった佐藤さん自身の故郷への思いが投影された作品となっている。撮影は盛岡市内各地で行われ、盛岡市民にとってなじみのある場所や盛岡を離れた人にとっても懐かしいと思わせるカットが多い。
同曲が完成して監督と話し、ミュージックビデオの細部が決まる中で佐藤さんが「撮影場所は岩手にしてほしい」と要望し実現した。
佐藤さんが同曲をつくるきっかけになったのは震災だった。「東京の部屋で余震におびえながらテレビのニュースを見ていることしかできない自分がとてつもなくふがいなく、やり切れない思いだった。正直なところ音楽の存在意義を疑ってしまった。音楽ってなんだろうと、自分のしてきた表現が、果たして人を幸せにできるものだったのか考えさせられるきっかけになった」と話す。
震災をきっかけに自分の音楽観や人生観が変わったという佐藤さん。同曲は自身が地元を出るときの気持ちを歌った曲。「どうしても叶(かな)えたい夢があってさ」(同曲歌詞)と覚悟を持って旅立ってから10年。現在の故郷への思いを「今も変わらず大好きな岩手でおいしいものを食べて、元気をもらいに帰りたいと思う」と話す。「心のこもったミュージックビデオにできて本当に良かった」とも。
同曲は全国のCDショップで購入できるほか、AmazonやiTunesなどのウェブショップでも購入できる。価格=1,296円。