盛岡出身の画家、深沢紅子さん(1903-1993)の生誕110年を記念して現在、深沢紅子野の花美術館(盛岡市紺屋町4、TEL 019-625-6541)で「盛岡の先人女流画家 深沢紅子展」が開催されている。
野の花の画家として知られる深沢さんは、女性が画家を志望するのが難しい時代に日本画、西洋画を学び、日本、岩手の文化振興の礎を築いた人物。水彩や油彩で野の花や女性をモデルに柔らかい雰囲気の絵を多く描いた。岩手の美術指導にも力を入れ、岩手大学特設美術科を創設するなど功績を残した盛岡の先人でもある。
今回の展示では、深沢さんが10代から89歳までに描いた作品55点を展示する。深沢さんが77歳だった1979(昭和54)年に自宅が火事で全焼した。作品のほとんどが消失し、それ以前の作品はほとんど残っていない。今回の会場では貴重な作品となる29歳時の作品「風船をもつ少女」と36歳時の作品「雨傘」を初公開するほか、深沢さんの親戚が保存していた15歳時の手製絵はがきも展示。このほか、戦後、深沢夫妻が制作に取り組んだ月刊誌「岩手の警察」や戦後の小学生に向けた4コマ話「山ノポンベイ・街ノチャコ」も見ることができる。
同館館長の石田紘子さんは「今回の展示では(年代ごとの)画風の違いを見ることができる。ぜひこの機会に絵を見て、(深沢紅子が)岩手の美術教育の礎を築いてきたことを知ってほしい」と話す。
開館時間は10時~17時。月曜休館。入館料は、大人=500円、高・大学生=300円、小・中学生=200円。12月10日まで。