岩手大学農学部は、ヒエの新品種完全もち性ヒエ「なんぶもちもち」を開発し、品種登録申請した。
もち性ヒエの研究をしてきた同大学では2012年に品種登録されたもち性ヒエ「長十郎もち」を品種改良し、「なんぶもちもち」を完成させた。「長十郎もち」は、180センチメートルほどの長稈(ちょうかん)でコンバインでの収穫には不向きだったため、短稈種への改良が求められていた。機械での刈り取りが可能になり、低コストでの生産が期待できる。
同大学育成者代表の佐川了(さとる)さんは「何万という系統の中から形状を選別するのは大変だった。岩手はヒエ生産が有数の土地でもある。昔からある雑穀の文化を守って行きたい」と話す。「ヒエには、抗酸化作用やミネラル、鉄分が豊富に含まれており、白米よりも栄養価が高いことから雑穀米や加工食品への利用を促していきたい」と、今後について話す。
今後は、品種として正式登録された後に、岩手県南で生産されることを見込んでいる。生産地域が旧南部藩であることにちなみ「なんぶ」、もち性を表す「もち」と愛くるしさを表現するために「なんぶもちもち」と命名し、栽培や食品として一般に浸透させていきたい考えだ。