毎年恒例の市民劇「盛岡文士劇」をまとめた「天晴(あっぱ)れ! 盛岡文士劇」(発行=荒蝦夷)が11月25日、発売された。
盛岡を中心に県内外の作家(文士)や芸術家、アナウンサーらが役者として舞台演劇を興行する同劇。戦後、1949(昭和24)年に盛岡出身の作家、鈴木彦次郎が立ち上げ、10年以上続いた後にいったん幕を下ろした。その後、1995年に同じく盛岡出身のミステリー作家、高橋克彦さんが座長となって復活。毎年12月に行われる公演は、発売当日に売り切れるほどの人気を見せている。
「役者になった作家たち」をサブタイトルにした同書は、1996年から続けて出演し、2001年からは脚本も手掛ける作家の道又力さんが企画し、まとめたもの。高橋さんのほか、内館牧子さん、井沢元彦さん、北方謙三さん、浅田次郎さんなど著名な作家らが「盛岡学」(発行=同)や朝日新聞、機内誌などに掲載したエッセーや道又さんが担当した脚本5本を収録。サラリーマン時代に盛岡に赴任した経験を持つ漫画家・ロドリゲス井之介さんの「世界の中心でくだをまく(仮)」(ビックコミックスペリオール連載)で同劇についてつづった回も併せて収録した。
文士劇が市民に支持されていることについて、道又さんは「顔と名前を知っている人が普段とは違った姿を見せることへの興味もあると思うが、キャスト全員が盛岡の文化財として残そうという意気込みが伝わっているのだと思う。12月に一年の締めくくりとして、これを見ないと年を越せないという人もいるくらい」と話す。
価格は2,625円。県内主要書店のほか東北地域の書店でも扱う。
今年の盛岡文士劇は12月3日・4日、盛岡劇場(松尾町)で計3公演行われる。チケットは完売。