パチンコの景品に被災地の産品を使うことで支援につなげる取り組みが、全国に広がりを見せている。
この「希望の架け橋プロジェクト」を発案したのは、盛岡市内でパチンコ店を対象に店内装飾を手掛ける「東北エヌティエス」(盛岡市三ツ割)の佐々木政聡社長。 県内のパチンコ店に、 被災地で製造する海苔やホタテの貝柱といった海産物加工品を「端玉」の景品として提案したところ快く受け入れてもらえ、現在では口コミで全国200店を超える取引につながっているという。すでに大手の全国チェーンも支援に名乗りを上げており、商品の販売先は500店にまで広がる勢いだ。
景品用に商品を提供する被災企業は、味付け海苔を製造する横田屋(気仙沼市)と石井商店(塩竃市)、燻製ホタテのおつまみを製造する小野信分店(気仙沼市)など。いずれも被災した上に、取引先も被災していることから、再開の見込みが立っていなかった。
「支援先はどれも家族経営に近い中小零細企業。会社自体が被災している上に、それまで取引先だった旅館や物産販売店も被災していて販路まで絶たれている状態だった。販売先さえつなげてあげれば、いずれは自立できるはず」(佐々木社長)。
今は同社が被災企業から商品を一旦仕入れ、パチンコ店に個別に宅配便で配送するが、仕入れ値は被災企業の言い値で取引している上、個別の配送料が負担となり利益はない。
「直接被災していない内陸の企業としてできることは『被災地に仕事を作る』こと」と佐々木社長。「この取り組みを通してパチンコ店のイメージアップにもつなげていければ」と意気込む。