旧岩手県立図書館(盛岡市内丸)が7月1日、盛岡の歴史と文化を学ぶ観光拠点「もりおか歴史文化館」として生まれ変わった。
城下町盛岡の新たな観光拠点として、かねてより市が計画していた同館。江戸東京博物館などで知られる著名な建築家・菊竹清訓さんが手掛けた旧県立図書館の基本構造をそのまま生かした建物は、地上2階、地下1階建てで、延べ床面積は4676平方メートル。
館内では盛岡城の築城前から近代に至るまでの歴史、チャグチャグ馬コや祭りなどの地域文化を、資料や映像、南部藩から市に寄贈された文化財を使って展示する。城下町である盛岡の中心街を一つの博物館に見立て、徒歩で回る「まちなか観光」の拠点として位置付ける一方、市民には「城下町盛岡」を学ぶ場として活用を促す。
学芸員の小西治子さんは「観光客には街に出て行く前にここで盛岡観光の概要を知ってもらえるよう設計した。市民には盛岡の歴史を学んで、それぞれが『観光コンシェルジュ』になってもらえれば」と話す。
シンボルは建物内に収められた2台の山車(だし)。1台は高さ9メートルで、街に電線のない時代に使われていたものとほぼ同じサイズだという。2階の歴史常設展示室ではモニター4台を使った幅8メートルの映像を通して、江戸時代の参勤交代の様子を再現する。
「歴史資料や文化財は、ほとんどがレプリカではない実物展示で、美術品として見る価値もある」と小西さん。「保存状態を保つために1~2カ月で展示の入れ替えをするので、常に新しい展示に出合えるはず」とも。
開館時間は9時~19時。入館無料。歴史常設展示室は有料で、大人=300円、高校生=200円、小・中学生=100円。
9月19日まで開館記念による企画展「南部家の至宝」を開催中。