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盛岡で「自然と人」の境界がテーマの企画展 アートから考えるきっかけに

手前は林業の作業を描いた菊池さんの作品、奥はクマの姿を描いた永沢さんの絵画

手前は林業の作業を描いた菊池さんの作品、奥はクマの姿を描いた永沢さんの絵画

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 企画展「境界をまたぐとき」が現在、「Cyg art gallery(シグ アートギャラリー)」(盛岡市菜園1)で開かれている。

来場者へ「境界とは何か」などを問いかけるメッセージボード

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 人と自然、街と森の間に生まれる「あわい」をテーマにした同展。岩手県が本州一の森林面積を有し、盛岡市内中心部には川が流れ、森や山が近い環境にある一方、近年に市街地にツキノワグマが出没するなど、人間社会と自然の境界が曖昧になっていることから、自然との付き合い方や距離感を考えるきっかけにしてもらおうと展覧会を企画した。

 企画を担当する知念侑希さんは、ギャラリーを運営するデザイン事務所「ホームシックデザイン」に所属しているが、狩猟免許を持ち、2020年から3年間、市農政課の地域おこし協力隊として鳥獣被害対策に関わってきた。

 知念さんは「自然と人間の境界は自分の興味がある分野の一つ」と知念さん。「協力隊時代に、さまざまな鳥獣被害対策の現場でいろいろな立場の人の話を聞いてきた。その経験を通じて思っているのは、境界は曖昧で、はっきりした線はなく、正解もないということ。アートを通じて、それぞれの立場や考えを大切に対話するきっかけをつくりたいと思い、展覧会を企画した」と話す。

 出展作家は知念さんを含めた6人で、全員が自然との関わりを持つ。会場を小さな一つの世界に見立て、入り口から奥に進むごとに街と森の境界が溶け合い、グラデーションが生まれる構成にしたという。入り口付近には、土地と人間のつながりをテーマにした菊池聡太朗さんの絵画や、知念さんが協力隊時代に撮影した写真が並ぶ。菊池さんの作品は街の中にある荒地や、山の中にある人間の痕跡などを題材にしたもの。菊池さんは「東北は山の中でも人の気配を感じる場所が多く、中間的な領域が広いなと感じる」と話す。

 会場奥には、狩猟者としても活動する永沢碧衣さんのクマなどを描いた絵画、山で中型の動物やシカを描いた菊池咲さんの絵画、シカと出会った経験を基に描いたさとうひよりさんの絵画が並ぶ。最後には猟友会の一員として害獣対策に加わりながら、県内のシカの骨や角を使った細工作りをしている深山けものさんの作品を展示。

 深山さんは「盛岡は都市の面もあれば、田舎の面もあり、グラデーションの濃い、薄いの中に自分たちがいる。展覧会の企画を通じて、自分が山の人間か、街の人間か特に意識してないことに気付いた」と話す。

 会場内には「境界とは何か」など来場者に向けた問いかけを設けたメッセージボードも用意している。知念さんは「一つの答えを探すのではなく、自然と人間との『ままならなさ』や『あわい』を感じて、対話してもらうことが展覧会のゴール」と話す。

 営業時間は11時~17時。水曜・木曜定休(2月11日は営業)。入場無料。3月1日まで。

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