
盛岡市内でショウガにまつわるイベントを開催する「盛岡しょうが市実行委員会」が8月8日、盛岡八幡宮内の神明社の例祭に参列し、岩手県産のショウガを奉納した。
同実行委員会は、現在の肴町から八幡町周辺が古くは「生姜町(しょうがちょう)」と呼ばれていたことにちなみ、陸前高田市で栽培する「三陸ジンジャー」を使った限定メニューなどを提供するイベント「盛岡しょうが市」を2021年から毎年11月に開催している。
旧生姜町地域にあった「神明社」の祭礼日には、参道にショウガを売る市が立っていたことが町名の由来とされている。「ショウガはけがれをはらい、神明に通ずる」という意味から、例祭ではショウガが奉納されていたといい、神明社が盛岡八幡宮内に遷座された現在も、8月8日に行われる例祭では必ずショウガが奉納されている。
三陸ジンジャーを栽培する菊地康智さんは古い地名とショウガを奉納する風習に感銘を受けたのをきっかけにイベントを立ち上げ、実行委員のメンバーと共に例祭に参列して自身が作ったショウガを奉納している。
例祭への参列は5年目を数える。これまでは関係者のみで参列していたが、今年は初めて一般の参列者を募集。地元の企業や金融機関、生姜町地域の住民なども含めて、例年よりも多い参列者が集まった。菊地さんは「生姜町という地名もショウガを奉納する風習も、文化的に貴重な盛岡の財産。より多くの人に体験してもらうことで、この文化を引き継いでもらいたいと思っている」と話す。
当日は連日の暑さが少し和らぎ、晴天の下、境内には涼しい風が吹く中で神事が行われた。今年は2024年に収穫して熟成保存した「ひねショウガ」と邪気をはらう破魔矢になぞらえた葉ショウガを5キロ奉納し、無病息災と五穀豊穣を祈った。
今年のショウガの生育状況について菊地さんは「水不足や暑さの影響を受けているが、なんとか持ちこたえている。大きく成長しないことや、収量が減少することも予測している」と心配する。「イベントは育てる側の自分にとって、ショウガを使う人や食べる人との重要な接点になっている。イベントもショウガの栽培も何かの影響を受けることはあるので、まずは冷静に、これからも淡々と続けていくだけ」とも。
今年の盛岡しょうが市は11月8日~23日に開催予定。