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野村胡堂・あらえびす記念館で30周年企画展 開館までの道をたどる

企画展「野村胡堂・あらえびす記念館誕生物語」の様子

企画展「野村胡堂・あらえびす記念館誕生物語」の様子

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 野村胡堂・あらえびす記念館(紫波町)で現在、開館30周年記念企画展「野村胡堂・あらえびす記念館誕生物語」が開かれている。

8月31日まで行われている特別展第1期「挿絵原画展~胡堂の愛蔵挿絵コレクション!~」

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 「銭形平次捕物控(とりものひかえ)」などを手がけ、音楽評論家「あらえびす」としても知られる紫波町出身の作家・野村胡堂を顕彰する同館。6月に開館30周年を迎えたことを記念し、胡堂を顕彰する活動の始まりから記念館の開館までを時系列でたどる展示を企画した。

 担当学芸員の千葉茉耶さんは「昨年は30周年プレ企画として開館後の30年を振り返る展示を行った。今回は開館がゴールとなる構成で、生まれ故郷である紫波の人々と、胡堂が暮らしていた東京の人々の顕彰活動への熱意を感じてもらいたい」と話す。

 胡堂自身は生前、自分を顕彰する活動はしないでほしいと希望していたため、没後の1963(昭和38)年以降に紫波町と首都圏在住の縁者が中心となって顕彰活動を進めたという。特に生誕100周年の1982(昭和57)年ごろから顕彰活動が活発となり、紫波町中央公民館でも記念講演会が行われている。この講演会に合わせて作られた「野村胡堂年譜」を展示するほか、講演会の音声も紹介する。

  1988(昭和63)年には紫波町彦部地区の住民などによる「彦部地区野村胡堂顕彰会」が発足。顕彰会の目的の一つには顕彰施設の建設が掲げられていた。同会は首都圏の胡堂関係者との協力体制も構築。記念館の建設が決まった後には首都圏在住の遺族や関係各所から、遺品や資料の寄贈があったほか、胡堂が東京都に寄贈したレコードコレクションと蓄音機などが紫波町に移管されている。今回はレコードコレクションの中から2枚のSPレコードと目録、蓄音機を並べる。

 記念館は胡堂が生前「北上川の見える場所に家を建てたい」と話していたことから、生家に近い彦部地区の丘の上が選ばれた。銀色の屋根はかやぶき屋根をイメージした形になっている。開館に向けて、銭形平次にゆかりのある東京の神田明神から紫波町へ徒歩と自転車だけで移動する「銭形平次500キロの旅」などのPR活動を行った様子が分かる写真パネルも展示する。

 同館では常設展示室での記念特別展や記念ライトアップ、レコードコンサート、星空観察会などのイベントで開館30周年を盛り上げる。千葉さんは「記念企画展では、開館を目指してたくさんの人々が関わり、尽力した情熱を感じてもらいたい。併せて、記念館と紫波町生まれの胡堂のことをもっと知ってもらいたい。この機会に足を運んで」と呼びかける。

 開館時間は9時~16時30分(入館は16時まで)。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入館料は一般=310円、小中高生=150円。来年3月15日まで。

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