
「盛岡となん歯科・こども矯正歯科」(盛岡市三本柳)のスタッフ有志らが現在、子ども向けの虫歯予防絵本「おくちのなかのみゅーたん」の製本化に向けたプロジェクトに取り組んでいる。
同院では初めて歯科治療を受ける子どもたちに治療の内容などを説明するために市販の絵本を使った読み聞かせを行っている。その一方で、「市販の絵本の内容では虫歯の原因や予防法について正しく伝えられない部分が多い」とスタッフ同士で話し合っていたという。
歯科助手の村上琴音さんは「虫歯は口の中の常在菌が原因だが、絵本では虫歯を作る悪者が外からやって来て歯に悪さをして、悪者を歯科医がやっつけるという内容が多い。虫歯の原因は自分の口の中にあること、歯は自分で守るものというのを子どもたちに伝えたいと考えた」と話す。
そこでスタッフ有志らで院内絵本プロジェクトチーム「みゅーたんず」を立ち上げ、オリジナル絵本の制作に取り組んできた。絵本のタイトルは「おくちのなかのみゅーたん」。代表的な虫歯菌として知られる「ミュータンス菌」を「みゅーたん」というかわいらしいキャラクターに仕上げた。
主人公は甘い物が大好きな男の子・こうくん。歯磨きをしないまま寝てしまったこうくんの元にみゅーたんが現れ、「未来のこうくんは虫歯だらけになっていること」「原因は甘い物の食べ過ぎと歯磨きをさぼったこと」を教えるという内容になっている。こうくんは自分から歯科医を訪れ、正しい歯磨きの方法や虫歯予防のこつを学ぶ。
絵本の内容は「口の中にいるみゅーたんと平和に暮らすための方法」を伝えることにこだわり、スタッフ全員で内容を確認する機会を取ったほか、外部の医師の意見も取り入れて制作。歯科助手の佐藤未菜さんは「絵本で伝えたいのは子どもたちが自分で自分の歯を守ること、私たち歯科医院はそれを手伝う存在であること。自分で歯を守ることができれば歯科治療は必要ないことを知ってほしい」と話す。
当初は院内のみで使う予定だったが、保育園や学校などへの寄贈、地元書店での販売を視野に入れてより多く製本する資金をクラウドファンディング募ることにした。「スタッフから絵本を作りたいと聞いて、より多くの子どもたちに届けるのが良いと思い、クラウドファンディングを提案した」と院長の山田優貴さん。村上さんは「地域の子どもたちが虫歯にならず幸せでいてもらえるような情報を伝えたい。一人でも多くの子どもたちが前向きに口の健康を守ろうと思ってもらえたらうれしい」と呼びかける。
クラウドファンディングの期間は5月30日~6月30日。一口1,000円から。集まったお金は製本費用やデザイン費に充てる。