青森県南部町から盛岡まで通い、盛岡大通商店街の一角で海産物の露店販売を50年続けてきた木村ゴヨさんが年内で営業を終える。
青森県南部町在住の木村さんは1918(大正7)年生まれの94歳。毎日朝7時から15時まで大通商店街の銀章堂と家具のナガヌマの間にある階段の一角に座り、海産物の露店販売を50年間続けてきた。
「50年間もの長い間、大変お世話になりました。もう少し続けたいと思いましたが都合により今年いっぱいで閉店させていただきます」と書いた段ボールの看板を脇に置き、新聞紙の上に朝早く八戸の市場で仕入れてきたという新鮮な筋子やサケ、ウニなどを並べている。
「昔は5、6人同じような売り子をする人がいた。今は私だけになってしまった。昔の大通には人がたくさんいたけど、今は売れなくなった。でも、昔買ってくれていた人が思い出したときに買ってくれる」と木村さん。
朝、八戸で海産物を仕入れ、車で運転手に盛岡まで連れて来てもらい、帰りは電車で青森まで帰るという。足腰も丈夫で、「お姉さん、筋子は汁が出ないくらい新鮮でうまいよ。買ってって」と通行人にも積極的に声を掛ける。最後ということもあり、通りすがりに足を止めて木村さんに声を掛ける人も多い。買い物客は「50年も通うのは、なかなかできることじゃない。すごい。でも終わってしまうのは寂しい」と言い、サケや筋子などを求めていた。
12月28日で50年続けてきた営業を終える。木村さんは「終わったら温泉でゆっくり過ごしたい」と笑顔で話す。