盛岡の壱鋳堂(盛岡市下太田下川原)が制作した南部鉄器製品が、2012年度グッドデザイン賞を受賞した。
同賞を受賞したのは「キャストアイアンケトル」という鉄瓶。注ぎ口から鉄瓶全体へと滑らかなラインで構成されており、従来の南部鉄瓶に比べるとゴツゴツしていないのが特徴。審査委員は、「工芸品である南部鉄瓶を現代の生活に取り入れやすいかたちにデザインした」と評価した。同商品は現在、在庫が不足しており、生産待ちとなっている。
南部鉄器のデザイン、販売を手掛ける同社。創設4年目と歴史は浅いが、これまでに鉄瓶やティーポットをはじめ、調理道具やインテリアまで多くの製品を世に送り出している。今年5月にリニューアルオープンした「パレスホテル東京」(東京都千代田区)では同社の製品を全室に完備している。
南部鉄器は鉄を型に落とす際にさまざまな制約があり、デザインにおいても南部鉄器の生産における知識を必要とする。同社デザイナーの中村さんは「お客さまからの要望を直接聞き、生産工場と直接やりとりができるからこそ自由なデザインができる」と話す。佐藤康大社長も「これからもお客さまのニーズに対応しながら、より良いものを販売していきたい」と意欲を見せる。
今後は他業種とのコラボレーション企画も予定する。