主婦が仕掛けた企業マッチングイベント-「思い」と「共感」で起業家支援

創業間もない岩手のベンチャー企業を支援するオネット企画の小野節子さん。第3回・いわて起業家博会場で

創業間もない岩手のベンチャー企業を支援するオネット企画の小野節子さん。第3回・いわて起業家博会場で

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 「第3回・いわて起業家博」が11月22日、盛岡グランドホテル(盛岡市愛宕下)で開催された。主催はオネット企画(上田4、TEL 019-698-1216)で、開催は今年で3回目。今年は「盛岡地域夢起業塾」と同時の開催。

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 同イベントは創業間もないベンチャー企業や個人経営者のビジネスを紹介しながら岩手県内の企業とのビジネスマッチングを図る目的で2005年から毎年に行われている。会場には、県内ベンチャー企業約30社が自社の新商品やサービスを紹介するブースを設け、約500人の来場者を相手に販路拡大に向けて懸命の売り込み行った。企業の支援機関などによる経営相談のブースも設けられ、いわて産業振興センターや地域人材ネットワーク、盛岡信用金庫が個別に経営相談に対応した。

 企画・運営を手がけたオネット企画代表の小野さんは、外資系化粧品会社で営業職を15年ほど勤めた後、母親の介護や更年期障害を理由に退職。「普通」の専業主婦を続けていた。

 きっかけは2003年にいわて産業振興センターが開催した起業セミナー「いわて起業家大学」。「そこで出会ったアントレプレナーセンターの福島正伸さんの『夢しか実現しない』という言葉にすっかり魅せられてしまった(笑)」と小野さんは振り返る。同じころ3人目の子どもたちが成人したこともあり、起業家が集まる会を組織。その後、起業支援を手がける企画事務所を2004年4月に設立した。

 年会費3,000円とはいえ、いわば専業主婦が始めた「有料会員制」の企業支援事業に当初は「誰からも感心をもたれなかった」(小野さん)というが、公民館など格安な会場を利用して、月1回のペースでビジネスプランの発表会を開くなど地道な活動が実を結び、現在では40社以上の会社経営者らが会員として名を連ねるようになった。現在は同イベントの運営を中心に、ビジネスプランへのアドバイスや販売促進プランの提案なども行う。

 今年からは会員企業を引き連れて「ベンチャーキャラバン」を実施。一関市や宮古市など岩手県内各所で会員企業を積極的に売り込んだ。この活動を知った盛岡信用金庫が同イベントに「相乗り」する形で、今回から同信金が実質的に運営する経営者支援事業「盛岡地域夢起業塾」と同時開催するまでに発展した。

 「初めのころはほかの支援機関や公認会計士の先生に話しても『すぐにダメになる』としか言われなかった」が、小野さんの常に前向きな姿勢に以前から提案し続けてきたビジネスマッチングのイベント「起業家博」が現実味を帯び、3年前に盛岡の老舗ホテルを会場に同イベントを開催。初回ながら300人を超える企業経営者らを集めた。

 「ラッキーだったのは家族がまったく反対しなかったこと。というより、むしろ応援してくれた。実害がなかったといえばうそになるが、家族の理解がなければできなかった」とも。「今は自分もボランティアの状態だが、これからは岩手の起業家を全国の人に知っていただけるような活動をしながら、この事業を拡大していきたい」という。「あきらめない夢」は広がる一方だ。

オネット企画

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