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くどうれいんさん初の絵本発売 手紙が持つ「すてきな力」題材に

ポストの前で絵本を持つくどうさん。「手紙を書くって、本当にすてきなことですよ」と語る

ポストの前で絵本を持つくどうさん。「手紙を書くって、本当にすてきなことですよ」と語る

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 盛岡在住の作家・くどうれいんさんによる初めての絵本「あんまりすてきだったから」が6月23日、ほるぷ出版から発売された。

「あんまりすてきだったから」表紙

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 「手紙」をテーマにした同作品。きっかけとなったのは、くどうさんが幼い頃に同作品の絵を手がける絵本作家・みやざきひろかずさんへファンレターを送ったことだったという。作家となったくどうさんは、みやざきさんのホームページからメッセージを送り、「いつか一緒に絵本を作れたら」と思いを伝えた。それがみやざきさんへ届き、今回の作品につながった。

 手紙をテーマに選んだもう一つの理由として、くどうさんは自身が手紙に励まされた経験を挙げる。昨年発表した小説が第165回芥川賞の候補作になると、多くの人の注目が集まった。「注目されるのは良い部分もあるし、悪い部分もあった」とくどうさん。心ない批判にさらされた時や、「もう作品が書けない」と感じた時、読者から届いたたくさんの手紙に力をもらったという。

 くどうさんは「思いをしっかり言葉で伝える手紙は、誰かにとっての励ましになる。そして、手紙を書くこと自体がすてきで、明るくて尊いもの。手紙に励まされた私から、そのお返しに皆さんの所に絵本が届くといいなと思っている」と話す。

 絵本は、歌手の歌声があんまりすてきだったから「そのうた、とっても すてきです」と手紙を書いたこんちゃんと、こんちゃんの手紙から「うれしい気持ち」が広がっていく物語。こんちゃんの手紙を運ぶ郵便屋さんが口笛を吹き、口笛を聞いたヤマメが飛び跳ねと、うれしい気持ちが伝わっていく様子を表現する。

 文中には「てってこてこ てってこてこたててととっ!たててととっ!」や「ほわらり ほわらり ぬうぬう ほろるにい!」といった特徴的なオノマトペが何度も登場する。くどうさんは「子どもの頃、絵本にこういうフレーズが出てくると楽しくて笑ってしまうような、くすぐったい気持ちになった。この作品を読んだ子どもたちにも同じ気持ちになってもらえたら」と話す。

 これまで俳句、エッセー、短歌、小説、児童書と幅広いジャンルで出版を続けたくどうさん。「絵本はシンプルな言葉を選ぶ難しさがあるが、その分、絵の表現で伝えることができる」と話し、「みやざきさんの絵の優しさや細やかさ、ユーモラスな表現を隅々まで楽しんでほしい。そして、絵本を閉じた後で、子どもも大人もそれぞれ便箋を取り出して、誰かへ手紙を書いてもらえたら」と呼びかける。

 対象年齢は3・4歳~。A4変形判。32ページ。価格は1,540円。

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