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IGRいわて銀河鉄道が妊産婦支援切符を販売 みんなでハグして育む思い

「IGR HUG PASS」の乗車券とリーフレット。乗車券は母子手帳にも挟める丸みのあるデザイン

「IGR HUG PASS」の乗車券とリーフレット。乗車券は母子手帳にも挟める丸みのあるデザイン

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 「IGRいわて銀河鉄道」が現在、沿線地域の妊産婦のアクセス支援を目的とした企画乗車券「IGR HUG PASS(アイジーアール ハグパス)」を販売している。岩手県交通との共同企画。

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 健診や通院などで盛岡方面へ向かう妊産婦が、いわて銀河鉄道線と岩手県交通を通常運賃の半額で計5日間利用できるもの。母子健康手帳の交付を受けてから出産するまでの妊産婦を対象に、最寄りの乗車駅から盛岡駅間のいわて銀河鉄道線、盛岡駅前から運賃160円区間内往復の岩手県交通バスが利用できる。

 企画のきっかけとなったのは、IGRいわて銀河鉄道の男性社員からの「県北の産科が減っていると聞いた」という話だった。IGRは5つの市と町をまたいで運行しているが、その地域の中で分娩(ぶんべん)が可能な病院も二戸と盛岡にしかないという。そのため、自分で車を運転して盛岡の病院へ通う妊婦も多い。家族が付き添うケースもあるが、「盛岡の病院へ通うのに車の運転や1人での移動は不安」という妊婦の声を受け、「IGRで何か支援ができないか」という思いで企画を立ち上げた。

 IGRの利用者に妊婦が少ないという現状もある。企画した運輸部の担当者は「各駅にヒアリングをしたところ、妊婦の利用がほとんどないことが分かった。電車は周囲に他の乗客もいるので、何かあった時の手助けもできる。一部でもIGRを利用して安心して移動してもらいたい」と話す。

 「HUG PASS」という名前は、「抱き締める」という意味の「ハグ」と「育む」の2つから付けた。「妊婦さんが自分自身を大事に抱き締める」「IGRと沿線地域の皆さんで母子をサポートして育む」という思いを込めている。

 乗車券は「HUG PASS」のロゴをかたどった楕円(だえん)形の2つ折りカードで、母子健康手帳に挟んでおける大きさと厚さにした。利用者は列車乗車時に乗車券を提示し、係員から乗車日のスタンプを押してもらう。乗車駅が無人駅もしくは営業時間外の場合は列車内か降車駅の改札でスタンプを押す。通院の記録としても取っておけるようデザインにもこだわったという。

 乗車券の有効期間は購入日から1年間。5日連続で使う必要はなく、出産後の利用も可能としている。乗車駅から盛岡駅までのいわて銀河鉄道線は乗り降りも自由となっている。自身の体調や天候に合わせて移動手段を選べるよう工夫を凝らす。リーフレットにも盛岡市内の主な産科までのバス乗り場と路線名、最寄りバス停などの情報を記載し利用者の安心につなげる。

 担当者は「妊産婦の皆さんや家族の皆さんの間で少しずつHUG PASSの存在が広まっていけばうれしい。特に冬に車を運転するのは大変だと思う。電車に乗って楽に安心して移動してもらえれば」と呼び掛ける。

 乗車券は小繋駅・斗米駅を除くIGR各駅窓口で販売。発売額は発駅によって異なる。

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