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もりおか歴史文化館テーマ展「罪と罰」第2弾 城下町の事件メインに

今回は事件記録と共に大きな地図を使い事件現場も紹介

今回は事件記録と共に大きな地図を使い事件現場も紹介

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 もりおか歴史文化館(盛岡市内丸)で現在、テーマ展「罪と罰II -城下町盛岡の犯罪録-」が開催されている。

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 同館では2020年12月から2021年2月にかけて、江戸時代の盛岡藩で起きた事件の記録と、行政や司法を担当する町奉行の仕事をテーマにした展示「罪と罰」を実施。盛岡藩の家老による政務日記「盛岡藩家老雑書」と、盛岡藩内で起きた犯罪とその処罰を記録した「刑罰」「諸刑罰」の中からいくつかの事件を取り上げて紹介したところ、中には衝撃的な事件も多く、SNSなどを中心に好評を得たという。

 担当学芸員は「展示資料も解説パネルも文字ばかりで展示だったが、普段は文字だけの資料を避けがちな高校生や大学生が展示をじっくり見ているのも印象的だった。資料自体の面白さ自体が伝わったのかなと思うと、学芸員としてうれしい」と振り返る。

 1回目の時点で「まだまだ事件記録がある」と続編を検討していたが、好評に応えて第2弾を企画。今回は現在の盛岡市内中心市街地に当たる「城下町」で発生した犯罪に注目し、殺人や放火、窃盗、落書きのほか、殿様への失礼といった10件の事件の顛末(てんまつ)を12点の資料で紹介する。

 学芸員が興味を持った事件の一つが、現在の「紺屋町」で起きた殺人事件。大工の久七(きゅうしち)が仕事を終えて夜遅くに家に帰ると、妻がすでに眠っていて家の明かりが消えていたという。それに腹を立てた久七と妻が言い争いになり、酒に酔っていた久七が誤って妻を刺してしまった。これに対して妻の両親は「久七を死刑にしても娘は帰って来ない」と言い、久七は死刑を免れて出家している。この事件を見るポイントは「妻が先に寝ていたから」という動機と、妻の両親によって罰を免れた点で、現代でも起こりえる事件でありながら、他人の申し出によって刑罰を免れているのは江戸時代ならではといえるという。

 このほかにも、盛岡城から脇差しを盗んだ男の話や、ギャンブルによるけんかが原因の殺人、屋敷の2階から若様を見てしまったのが失礼だったという事件などを取り上げる。学芸員は「窃盗は盗んだ物、盗んだ相手や場所、盗みの方法によって罰の重さが変わる。盛岡城から脇差しを盗んだ男は打ち首になっているが、盗んだものと場所が悪かったといえる。屋敷の2階から若様を見た女性は刑罰を逃れているが、江戸時代は女性の身分が低く、責任も小さかったからという時代背景も見える」と解説する。

 展示室の床には城下町の大きな地図を設置し、それぞれ事件の現場や関連する場所を紹介。展示を見た後に実際に歩いて事件現場を捜索する気分を味わうのもお勧めだという。学芸員は「事件を調べていくと、現代でも起こり得るものも出てくる。江戸時代は大昔に感じるが、生きている人は同じ。現代人と必ずつながっているところがある。事件現場に行くだけで、江戸時代とその時代を生きた人がぐっと身近になると思う」と話す。

 開館時間は9時~19時(11月からは18時閉館、受け付けは閉館30分前まで)。入場料は一般=300円、高校生=200円、小中学生=100円。12月20日まで。

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