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岩手県立図書館で「東日本大震災10年」展 同館の取り組みと震災の記録伝える

岩手県立図書館の震災当時の様子などが紹介された一角

岩手県立図書館の震災当時の様子などが紹介された一角

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 岩手県立図書館(盛岡市盛岡駅西通1)で現在、企画展「東日本大震災10年」が開かれている。

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 「東日本大震災」の発災から10年を迎えることに合わせ、同館や県内図書館の被害状況を振り返りながら、震災を未来へ伝えるための同館の取り組みや、復興の様子を伝える報道と記録、防災情報などを関連資料とともに紹介する企画展。

 地震が発生した2011年3月11日14時46分、同館は普段通り開館中だった。揺れが続く中、図書館スタッフらは利用者へ「書棚から離れ、落ち着いて行動するように」と大声で呼び掛けていたという。図書館が入居する複合施設「アイーナ」は盛岡駅に隣接していたことから、急きょ、帰宅困難者のための避難所となったため当日は16時で閉館し、避難所対応への支援に当たった。

 避難所対応と並行し、県内市町村立図書館の被害状況を電話で聞き取り、震災関連情報提供の準備、避難者への図書館一部開放などを開始。その後、館内の復旧・点検作業を経て4月1日には時間短縮で、14日からは通常開館をスタートしている。発災から1カ月後には、被害が大きかった図書館の現地調査を始め、支援活動も行ってきた。

 展示を3つの章に分け、1章は地震のメカニズムや岩手での地震活動について、2章では東日本大震災と津波、同館での震災当時の対応、3章でこれまでとこれからの復興や防災といった項目について紹介。同館収蔵資料を中心に、書籍や雑誌、新聞記事、各自治体の記録誌などが展示されている。

 同館は東日本大震災に関する資料を積極的に収集し、「震災関連資料コーナー」を設けている。収集資料は文学作品や手記、写真集、論文といった出版物に限らず、県や各市町村が発行した行政資料、ボランティア活動の記録、被災者支援情報が掲載されたチラシなども所蔵。コーナーは2011年10月にプレオープンし、当時の資料展数は691点だったが、現在は3万点を超えた。一方、東日本大震災関連資料の発行数は減少してきている。

 担当者は「震災から10年が経過し忘れないように伝えていくことが重要になっている中で、震災関連資料コーナーの継続はもちろん、復興状況を伝えたり、これからどうすればいいのかを考えたりすることも必要。この展示がそのきっかけになればと思う」と話す。

 開館時間は9時~20時。会期中の休館日は3月25日~31日、4月30日。5月5日まで。

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