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盛岡・上米内駅がリニューアルオープンへ 「漆」テーマに地域活性化へ

「地域の元気の源になりたい」と細越さん。駅舎に飾られる予定のウルシノキを片手に意気込む

「地域の元気の源になりたい」と細越さん。駅舎に飾られる予定のウルシノキを片手に意気込む

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 JR山田線「上米内駅」(盛岡市上米内)が4月29日、リニューアルオープンする。

内装工事が終わったばかりの「上米内駅」

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 リニューアルは、JR東日本とクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」が行う、地域を活性化・魅力的にする協業プロジェクト「地域にチカラを!プロジェクト」によるもの。一般公募による「無人駅の有効活用部門」では、各地域の企業や団体に対して無人駅者の駅舎の貸し付けを行っている。

 同部門に応募したのが、上米内地区で山林を活用したウルシノキ増産に取り組む細越確太さん。細越さんは自宅敷地内でウルシノキを発見したことをきっかけに、国産漆の生産量が少量であることを知ったという。その後、細越さんは所有する山林を使ってウルシノキの増産をスタート。2018(平成30)年には「次世代漆協会」を立ち上げ、2019年には苗3000株を植樹している。

 協会のメンバーや全国から訪れるボランティアが集まる拠点としては、細越さんの個人宅を利用していたが、今後活動を進めていく上で「人が集まれる場所の確保」と「漆のことや活動について知ってもらう拠点」が欲しいと考えていた。そこで、無人駅となっていた「上米内駅」の有効活用を思い付いた。

 細越さんは「駅に限らず、上米内地域は人が歩く姿や動いている様子が見えづらく、ひっそりとしている。駅をリニューアルすることで、列車利用者だけではない駅利用者が増え、人が行き交う地域へ、人がいることで居心地のいい駅へと変化していけばうれしい。地域活性化への一助にもなりたい」と意気込む。

 リニューアルは、「地域交流・情報発信の拠点として集まりたくなる落ち着いた空間」や、「ウルシノキへの興味が生まれる空間」をコンセプトに、ウルシノキにまつわる展示スペースや漆工房を設けるほか、セルフサービスで飲み物を提供する待合カフェスペースを整備。カフェスペースには移動ができる家具や什器(じゅうき)を置き、イベントや集会の場所としても利用できるようにする。

 プロジェクトでは昨年9月末から11月末にかけて、リニューアル資金を募るクラウドファンディングに挑戦。集まった金額が全て寄付されるAll-In方式で、119万1,000円を集めた。集まった支援金は駅の内装・外装工事などの改修整備費、飲料設備の設置費に利用する。

 現在は内装工事が終了した段階で、今後、什器の搬入や外装工事が進んでいく。内装や外装の色は白を基調に、漆が天然素材であることから「ナチュラル」や「持続性がある」といったイメージに統一。さまざまなイベントに合わせやすいことや、漆器や家具などを置いた時に色が映えるようにと白を選んだ。

 内装の変化に駅の利用者からは「こんなにきれいになるなんて驚いた」「立ち寄ってゆっくりしていきたくなる」という感想も。細越さんは「29日のオープンまで楽しみにしていて」と声を掛ける。

 「この駅が地域の元気の源になれば」と細越さん。「上米内は何もない場所だと言われるかもしれないが、自然に恵まれ、豊かな里山が美しい地域。電車に乗って新しい上米内駅に遊びに来て、お茶を飲んで、漆についても知ってもらいたい。山の見学も大歓迎。皆さんに会えるのを心待ちにしている」と呼び掛ける。

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