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伝統工芸「裂き織り」で100キロのごみ減量目指す 盛岡の事業所がCF挑戦

デニムの耳の裂き織りで生み出される製品

デニムの耳の裂き織りで生み出される製品

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 古い布や浴衣などを細く裂いて織り直す伝統工芸「裂き織り」のメーカー「幸呼来Japan(さっこらジャパン)」(盛岡市安倍館)は現在、「裂き織100kgチャレンジプロジェクト」に挑戦している。

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 同社では、「障がい者の雇用」「伝統技術の継承」「環境資源の循環利用」の3つをコンセプトに、アパレルメーカーなどで余った布を新たな生地へ再利用する「さっこらproject」に取り組み、アシックスジャパンなどのブランドとコラボレーションも行っている。

 これらの取り組みが評価され、昨年「グッドデザイン賞」を受賞。その一方で、代表の石頭悦さんには「もっと活動を広めたい」という思いが生まれていた。そこで、よりインパクトのある取り組みに挑戦しようと思い付いたのが、「100キロの廃棄物をゼロ」にするというチャレンジだったという。

 チャレンジを行うに当たり、裂き織りに使う素材にはデニム生地を生産する時に発生する「デニムの耳」を選んだ。デニムの耳は、高速織機でデニムを折り上げる時、生地にかかる負担を和らげて品質を保つために発生し、生地の完成と共に切り離されて捨てられてしまう。同社ではもともとデニムの耳を使った裂き織りを製品に使っていたことから、100キロのデニムの耳を裂き織りで新たな商品へと再利用しようと決めた。

 今回は100キロのデニムの耳を使った裂き織りを生地に使い、さまざまな製品へと加工。東日本大震災からの復興につながるクラウドファンディングをサポートする「復興庁クラウドファンディング支援事業」の一つとして、クラウドファンディングを通じて資金の支援を募り、返礼品という形で支援者の元へ製品を届ける。チャレンジはデニムの耳を使い切ることだけが目標ではなく、製品をしっかり使ってもらうことに意味があるという。

 石頭さんは「裂き織りは古い布を生かして新しく作り変える、使い倒しの文化。廃棄される布を使ってプロダクトを作り出しても、使ってもらえなければ意味がない。それが裂き織りの作り手としての使命の一つだと思っている」と話す。

 3月初めにスタートし、支援者の数は80人を超えたが、目標金額の300万円まではまだ遠い。目標をクリアできなくてもデニムの耳は従来通り素材として使用し、目標を達成した場合には別な素材で「100kgチャレンジ」に挑戦する構想もある。

 石頭さんは「まずは私たちの活動を知ってもらうということが何より。知ってもらうことで協力者が増えて、新たな可能性が広がっていくはず。裂き織りを世界の共通言語にすることと、盛岡を裂き織り産地にすることが一番大きな目標」と話し、「クラウドファンディングの概要を読んでもらうだけで、活動について分かるように工夫している。自分が使いたいと思う製品を選んで支援してもらえるとうれしい」と呼び掛ける。

 クラウドファンディングは4月22日まで。1口3,000円から受け付ける。

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