野村胡堂・あらえびす記念館で江戸川乱歩の企画展 2人の交流をテーマに

企画展に展示されている野村胡堂と江戸川乱歩の肖像

企画展に展示されている野村胡堂と江戸川乱歩の肖像

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 「野村胡堂・あらえびす記念館」(紫波町)は現在、企画展「野村胡堂と江戸川乱歩 ふたりの作家の交流の記憶」を開催している。

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 同展は紫波町出身の作家・野村胡堂と江戸川乱歩の交流をテーマにしたもの。同館の常設展示では胡堂にまつわる資料や本人が集めたレコードコレクションなどを紹介しているが、その中にも胡堂と乱歩の交流を示す資料が並ぶ。

 2人の交流のきっかけは、報知新聞社に勤めていた胡堂が雑誌「写真報知」へ掲載する小説の連載を乱歩に依頼したことだったという。乱歩にとっては初めての執筆依頼で、胡堂は原稿料などで乱歩を支え、作家活動を後押しした。その後、対面した2人は、少年時代に熱中した作家・黒岩涙香(るいこう)の作品や海外の探偵小説について話し、同じ趣味を持つ者同士としても交流を始めることとなった。

 同館学芸員の畑山晶子さんは「2人の交流については大きく取り上げられる機会が少なく、知らない人が多いと言われている。面白いのが作家同士としてだけではなく好きなもので交流を深めたこと。趣味に対する2人の熱意やコレクターとしての側面にも注目してほしい」と話す。

 企画展示では乱歩が胡堂へ宛てた書簡を中心に、2人が好んだ書籍などの資料31点を展示。乱歩が送った便箋7枚にも及ぶ書簡には、自分が集めた本のリストについて書かれ、好みの本を交換していた様子も見て取れる。

 関連イベントとして25日には「乱歩を読む」と題した朗読会も開催。朗読する「透明怪人」は、乱歩の代表作「少年探偵シリーズ」の一つで、恐ろしい透明怪人を追い掛ける少年探偵団の冒険が描かれる。子どもや乱歩作品に初めて触れる人にも楽しめるように演出にも工夫を凝らす。

 畑山さんは「『透明怪人』は少年向けの小説。胡堂の著書にも少年向けの作品があり、書き手としての共通点も見えると思う」と話し、「胡堂のファンはもちろん、乱歩好きの皆さんにぜひ楽しんでもらいたい展示。大正から昭和にかけて活躍した2人の意外なつながりや絆を知って」と呼び掛ける。

 開館時間は9時~16時30分(入館は16時まで)。入館料は、一般=300円、小中高校生=150円。月曜休館。朗読会は事前の申し込みが必要。申し込みは電話(TEL 019-676-6896)もしくはFAX(FAX 019-676-6897)で受け付ける。朗読会入場料は500円(入場料込み)。

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